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肘部管症候群
概要
肘の内側で神経(尺骨神経)が慢性的に圧迫されたり牽引されることで発症します。以下のような原因があります。
- 神経を固定している靱帯やガングリオンなどの腫瘤による圧迫
- 加齢に伴う肘の変形
- 子どものときの骨折による肘の変形
- 野球や柔道などのスポーツ
- その他
症状
麻痺の進行により症状が異なります。
初期は小指と環指の一部にしびれた感じがでます。
麻痺が進行すると手の筋肉がやせてきたり、小指と環指の変形がおきてきます。
出典:日本手外科学会「手外科シリーズ8」
診断方法
肘の内側を打腱器などでたたくと小指と環指の一部にしびれ、痛みが響きます。これをティネル様サイン陽性といいます。
出典:日本手外科学会「手外科シリーズ 8」 |
肘関節を十分に曲げた状態を続けることでしびれ、痛みが悪化するかどうかを見ます(誘発テスト)。症状が悪化する場合は肘屈曲テスト陽性といいます。親指と人差し指の間の手の甲にある背側骨間筋の筋萎縮を診ます。補助検査として、電気を用いた筋電図検査を行います。肘部管をはさんだ尺骨神経の伝導速度を測定します。
腫瘤が疑われるものでは、エコーやMRIなどの検査が必要になります。
治療方法
薬物の投与・肘の安静などの保存療法をまずは行います。
これらの治療が無効の場合や麻痺が進行しているときには、尺骨神経を圧迫している靱帯の切離やガングリオンの切除を行います。
神経の緊張が強い場合には、骨をけずったり、神経を前方に移動する手術を行います。
肘の変形がある場合には(外反変形など)、変形を手術的になおす場合もあります。
神経の前方移行 出典:日本手外科学会「手外科シリーズ 8」 |
バンドの切離 |